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子どもや親族がいない人の遺産相続のひとつの答え、「遺贈」

(写真=Burdun Iliya/Shutterstock.com)

この世を去った後、それまで持っていた財産は「相続」されることになる……ごく当たり前のように、このように考えるでしょう。けれど、「相続」ではなく「遺贈」という方法があることはご存知でしょうか。遺贈とは、遺言によって財産の一部または全部を、相続人や相続人以外の人に譲ることです。似ているようでいて、実は大きな違いがある「相続」と「遺贈」の違いを解説します。

相続税もかからず、社会のために遺産を活かせる「遺贈寄付」

通常、ある人が亡くなれば、その財産(遺産)は、配偶者や子どもなどに分割、相続されます。例えば配偶者と子どもが相続する場合には、配偶者は遺産の1/2、子どもたちはもう半分の人数割りを相続することになります。どのような立場(続柄)の人が、どれだけの割合で遺産を受け取るかは法律(民法)できちんと決まっています(相続人の範囲と法定相続分)。これに関しては、一般常識として知っている人も多いでしょう。

しかし、遺産を法定相続人以外の人に遺すこともできないわけではありません。それが「遺贈」という方法です。具体的には、遺言書を書くことで、法的に定められた相続人以外にも相続財産を残すことを明言しておくことで、この「遺贈」が可能になります。

この方法を使えば、「血縁関係にはなくてもそれに匹敵する付き合いがあり、できれば遺産を受け取って欲しい」と思う相手に遺したり、あるいは社会的に有効に活用してもらいたいと思う団体などに遺産を受け渡すこともできるわけです。

単純に、法定相続人以外の個人が「遺贈」で遺産を受け取った場合には、通常の税額の2割増しで相続税がかかりますが(公益性の高い事業に用いることがはっきりしている場合を除く)、相手が法人の場合は原則、相続税はかかりません。そのため、特に近年では、社会貢献と節税を兼ねて、こうした「遺贈寄付」の形をとる人も増えてきているといいます。

場合によっては手続きがややこしくなることも

もっとも、「なるほど、遺言さえ書いておけば、好きな相手に勝手に遺産を分けることができるのか」といえば、そこまで自由度が高いとは言えません。ちなみに、遺贈に関しては、民法(第964条)に次のように規定されています。

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(包括遺贈及び特定遺贈)
遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。ただし、遺留分に関する規定に違反することができない。
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ここでいう「包括遺贈」とは、ざっくり「遺産全体の1/3」など、内容を指定せずに遺贈するもの。「特定遺贈」とは、例えば「どこそこの土地」「○○銀行の預金」といったように特定して遺贈するものです。

注意すべきは「遺留分に関する規定に違反することができない」の一文です。例えば遺言状で「遺産の全額をAさんに遺贈する」と指定されていたとしても、本来の法定相続人が受け取るべき「遺留分」が民法(第1028条)で保障されています。

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(遺留分の帰属及びその割合)
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
 一 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一
 二 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の二分の一
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遺贈が遺留分を侵害している場合には、相続人から遺留分減殺請求が出される可能性が高くなります。また遺贈を受ける場合には、所有権移転の登記申請などにもかなりの時間と手間が必要になることがあります。つまり、場合によっては「遺産争い」の種になったり、贈りたい相手になかなか渡らないこともあり得るわけです。

もっとも、相続させるべき子どもや親族がいないという場合には、遺贈(遺贈寄付)は遺産の有効活用という点で「とても使える」仕組みと言えそうです。選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。

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