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40年ぶりに大きく変わるといわれる相続法 何が変わるのか? 第4回 配偶者居住権の保護

(写真=stockfour/Shutterstock.com)

早ければ来年、2019年中にも施行が予定されている改正相続法。約40年ぶりの改正となり、さまざまな部分で変更が加えられているようです。誰にとっても他人事ではない相続に関する規定の変化をチェックするシリーズの第4回目。今回のテーマは配偶者居住権の保護。特に今回の改正のなかでも、相手が亡くなっても「自宅に終身住み続けられる権利」という新しい概念が新設されることは、大きな目玉。その内容を解説します。

相続における配偶者の位置付け

民法で定められた相続人を法定相続人といいます。相続においては故人の遺言が最優先となり、遺産は遺言をもとに配分されることになりますが、特に遺言がない場合には、法定相続人が法で定められたとおりに遺産を分割し相続することになります。また、遺言があっても必ずしも100%遺言通りになるわけではなく、兄弟姉妹以外の相続人には「遺留分」という権利が認められています。

法定相続人には「優先順位」という考え方があり、その順位の高い人が、実際に財産を相続する権利を有するということになっています。民法の条文上、法定相続人の「第一順位」は、「死亡した人の子ども」で、子どもがすでに死亡している場合にはその子ども、つまり孫が代襲相続人として第一順位となります。

しかしそれを聞いて、「なるほど、まずは子どもが遺産を継げるようになっているのか」と思うのは早計です。実際にはこの「優先順位」以前に「死亡した人の配偶者は常に相続人」になることが民法で定められているからです。

仮に、被相続人に親も子も兄弟もなく、近親者が配偶者だけだったとします。その場合、遺産の法定相続分は100%。配偶者と子どもの場合には、配偶者が1/2で、残りを子どもが均等に配分。つまり、子どもが一人なら1/2、2人なら1/4ずつということになります。子どもがなく、父母がいる場合には配偶者が2/3で父母が1/3。子どもも父母もなく兄弟がいる場合には配偶者が3/4で、1/4を兄弟が均等に配分される規定です。

こうしてみると、相続における配偶者の権利はかなり手厚く保障されているように感じるかもしれませんが、実はそうはならないケースも多々発生しています。

課題となっていた「残された配偶者が自宅に住む権利」

問題の背景は、高度経済成長期からバブル期を通し、日本の不動産価格(特に土地)がとてつもない勢いで上昇したこと。その後バブルがはじけたことで大きく下落したものの、それでも1970年代~80年代に比べれば高いレベルにあります。

相続発生時まで、配偶者は被相続人と家計を一にし、同居をしていたというのはごく普通のケースではないでしょうか。しかし、自宅不動産の評価額が高いと「住み慣れた自宅に住み続けることができなくなる」可能性も高くなってしまうのです。

例えば夫が亡くなり、その遺産の内訳が、自宅不動産が1,000万円、預貯金が1,000万円であったとします。相続人が妻(配偶者)と子どもの場合、それぞれの相続分は1/2ですから、単純計算で1,000万円ずつ分けられます。しかし配偶者が自宅に住み続けたいと思い、その所有権を取得した場合、それだけで相続分の1,000万円きっかり。現金の相続財産は得られません。生活のための十分な経済基盤を持たない場合、困ったことになります。

さらに遺産の内容が基本、自宅不動産だけだった場合は、それを妻と子どもとで分け合うことになります。それでもなお、妻は自宅に住み続けたいと思ったら(一方で子どもは相続分の財産を手にしたいと思っているなら)、子どもに500万円の代償金を支払う必要性が出てきます。さもなければ結局は家を出て、その家は売却するしかなくなってしまうわけです。

「配偶者居住権」の制度を新たに導入

そこで相続法改正の大きなポイントの一つとして取り上げられているのが、「配偶者の生活を守る」という観点から創設される「配偶者居住権」の制度です。

その不動産全体の価値は、従来からの「所有権」と「配偶者居住権」の2つに切り分けられることになります。「配偶者居住権」は、所有権と違って売買や譲渡はできませんが、亡くなるまでその家に住み続ける権利を行使することができます。その金額は配偶者の平均余命などを基に算出され、配偶者が高齢であれば、それだけ低く算定されるようになっています。

例えば前出のように遺産が評価額1,000万円の自宅+預貯金1,000万円の場合に、自宅の配偶者居住権500万円、所有権500万円と算定されたとすると、残された配偶者はその家を「所有」する権利は持たないものの、その家に亡くなるまで住む権利と、500万円の生活資金を手にすることが可能になります。

またこれと併せて、婚姻期間が20年を超える夫婦の場合、配偶者が生前贈与や遺言で譲り受けた不動産は、原則として遺産分割の算定の対象としない、という規定が盛り込まれることになっています。

配偶者居住権は今後重要視される

このように、相続法改正に伴って配偶者居住権が新設されることになりました。少子高齢化が進もうとしている中、一連の見直しは、「年老いて残される配偶者の生活の安定」に向けての大きな変化とみることができます。そうはいうものの、万一が起きてから慌てて相続のことを考えるのでは遅いのです。早め早めに老後の暮らし、そして相続のことを検討しておくのが肝心です。

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