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投資家が注目するコングロマリット・ディスカウントとは

(写真=Indypendenz/Shutterstock.com)

投資のイロハで欠かせない「リスク分散」という考えからすれば、事業分野が多岐にわたる企業は投資先として優良であるはずですが、株価は割安なラインで低迷するという傾向にあります。こうした状態は「コングロマリット・ディスカウント」と呼ばれ、その言葉通り、コングロマリット(巨大な複合企業)がディスカウント(割引)される事例として、オリックスやソフトバンクが挙げられます。

リスク分散を考えた大企業がなぜマーケットでは評価されないのか、今回は「コングロマリット・ディスカウント」について、投資に少し慣れてきた中級者向けに解説します。

名立たるコングロマリットの株価は割安傾向に

コングロマリットの企業の一例としてはオリックスがあります。オリックスはリース業から始まり、不動産、金融、ベンチャーキャピタル、プロ野球球団、空港の運営受託など幅広く事業を展開する日本の代表的なコングロマリットのひとつです。これらの事業において、ほとんどの領域で業績が良く増収増益を続けているにも関わらず、オリックスの株価はなかなか上がっていく気配がありません。

企業の利益成長はPER(株価収益率)で判断されますが、オリックスの場合はPERが10倍を割っています(2018年8月23日時点)。一般的に、日本の上場企業の平均は15倍とされるなか、10倍を割り込んでいるのは割安な状況だといえます。株価が安い分、配当利回りは高くなり、この点をメリットと考える個人投資家もいないわけではありません。しかし、PERの低さを見ておトクだと判断して購入すると、なかなか上昇していかない株価にヤキモキすることになります。

こうした株価が割安なコングロマリットの例として、他にソフトバンク、日立や東芝などの総合電機企業、五大商社などがあります。

コングロマリット・ディスカウント(複合企業割引)とは

コングロマリットは、リスク分散を事業で体現しているはずなのに、なぜ市場において評価されないのでしょうか。複合企業に生じる割引現象「コングロマリット・ディスカウント」が起こる理由として、次の3つが考えられます。

理由1. コングロマリットの事業すべてを精査して投資判断できる投資家がいない
1企業への投資を判断する際、相互に関連しない事業の業績について、投資家自身あるいはアナリストが時間と手間をかけて分析することにメリットがないと考え、評価が上がらないという側面があります。

理由2. 企業内のリスク分散に投資するよりも、投資家自らの投資で、リスク分散することを好む
企業にしてみれば、事業の多角化はリスク分散になり得ますが、その一方、投資家からすればAというコングロマリットへ投資すると、業績の良い事業に限らず採算のとれない事業にも投資家のリソースを割くことになり非効率です。コングロマリットが展開するリスク分散に任せるよりも、投資家は自らが選んだ専業の企業によってリスク分散を図るほうを好みます。

理由3. 経営リソースが分散され、個別に抽出すると競争優位を持てない事業が多いから、コングロマリットの企業全体でみればリスク分散されていても、個々の事業体を取り出してみると必ずしも業界で競争優位を持てていないというケースがみられます。

ある事業が好業績を上げたことで得られたノウハウが別の事業へ展開できなかったり、あるいは好業績によって得られた利益を、業績の振るわない事業へ回されたりというコングロマリットの経営リソースが分散される点を投資家はあまり歓迎しないようです。

コングロマリット・ディスカウントは、業績の良い事業に特化することを投資家が求めている結果といえます。

投資専業への特化を望む投資家、それに応え始めたコングロマリット

こうした投資家の意向を受け、コングロマリット側は事業を子会社化して経営リソースの流れを明確にするところが増えています。ソフトバンクや楽天などは、M&Aを繰り返して企業体を大きく成長させるとともに、業績の良い会社を子会社化して上場させる動きを発表するなど投資家の目を意識した経営戦略をとっています。

2018年1月15日、ソフトバンクグループから携帯事業会社のソフトバンクを年内に上場させるという発表がメディアで話題となり、この日の株式市場では買いの動きもありました。上場のタイミングをうかがっている投資家や証券関係者も少なくないなか、果たして、この上場がきっかけとなり、ソフトバンクグループの株価がコングロマリット・ディスカウントから脱することができるのか注目されるところです。

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