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成長企業の重視指標「EBITDA」って何だ?

(写真=Constantin Stanciu/Shutterstock.com)

最近は、決算説明会の動画やプレゼンテーション資料を、自社サイトにアップする企業が増えてきました。その内容を見てみると、損益計算書に記載が必要な「営業利益」や「当期純利益」などの他に、独自の会計指標をKPI(Key Performance Indicators=重要業績評価指標)として採用し、KPIに沿って進捗を報告する企業が増えています。

さまざまなKPIの中でも、特に「採用する企業が増えてきた」といわれるのが「EBITDA(イービットディーエー)」。ここでは、この「EBITDA」について見ていきましょう。

何を表す指標なのか?

まずは、「EBITDA」とは何を表す指標なのかを理解しておきましょう。

E=earnings(利益)
B=before(前)
I=interest(金利)
T=tax(税)
D=depreciation(建物や設備など、有形固定資産の償却費)
A=amortization(ソフトウエアや“のれん”など無形固定資産の償却費)

これらの頭文字をとって「EBITDA」と称され、「税金・利払い・減価償却費控除前利益」と訳されます。つまり、税金や利息、設備投資やM&Aに伴う「のれん代」などを償却する前の利益を表す指標です。

読み方については「イービットディーエー」と発音されることが多いようですが、「イービットダー」「エビータ」などと発音する人もいて、決まった呼び方があるわけではありません。

実際にはどのように使われているのか?

次に、「なぜEBITDAをKPIとして採用するのか?」を見ていきます。まず「EBITDA」が導入されはじめたころは、「会計基準の違いによる見え方の差異」をカバーする目的で、アナリストが使用することがありました。

たとえば日本会計基準ではM&Aによって「のれん代」が発生した場合は、毎年一定額を償却しなくてはいけないルールが定められていますが、国際会計基準(IFRS)では償却の必要はありません。つまり、企業の経営状態は同じでも、それを表現する会計基準が違えば、決算数字が異なってしまいます。グローバル経済が進展する中で、それらを同じ物差しで測る「EBITDA」の注目が高まりました。

そして、現在では企業が経営指標として採用していますが、「EBITDA」を採用している企業には、大きく2つの傾向があります。まず1つ目は「多額の設備投資が発生する業種」。例えば通信、鉄道、不動産がその代表格です。

もう1つが「大型M&Aを積極的に展開する企業」。これは業種ではなく企業個別の問題です。ちなみにソフトバンク・グループは双方に該当し、「EBITDA」を採用しています。また、上場で得た資金を使って積極的な海外M&Aを展開してきたリクルート・ホールディングスは、「EBITDA」マージンの改善を事業目標として掲げています。

上記のような 企業が「EBITDA」を採用する理由はさまざまですが、損益計算書に計上する利益数字にとらわれず、目指すべき経営状態をチェックするという意味合いが強いのではないでしょうか。また、「EBITDA」をKPIとすることで株主に対してのコミュニケーションが円滑になるというメリットもあります。

つまり、将来の利益の為に大きな設備投資やM&Aを行えば、当面の利益には悪影響が出やすくなりますが、「これは攻めの投資を行った結果です」ということを説明しやすくなるのです。

投資にどのように活かしたら良いか?

では、最後に「EBITDA」を株式投資にどういかしたら良いのかを見ていきましょう。

1. 「EBITDA」の絶対値と伸び率
まずは、「EBITDA」が会社の見通し通りの数字で着地しているかどうかをチェックします。

2. 「EBITDA」マージン
「EBITDA」を売上高で割って算出します。売上高の伸びと「EBITDA」の伸びのギャップを考察し、その原因を理解することで、経営方針への理解を深めます。

ここまでが基本動作ですが、応用としては以下の通り。

3. 純有利子負債÷「EBITDA」
金融機関や格付け機関などが、その会社の財務健全性を評価するために使います

4. 企業価値÷「EBITDA」
企業価値=時価総額+純有利子負債。これはアナリストやM&Aサービスに従事する人が株価の適正価格を算出するために使います。

「EBITDA」を大雑把にいうと「投資を除けば、これだけ利益が出ていますよ」ということ。実際の決算説明で語られるのは上記1と2が中心です。個人投資家が「EBITDA」を株式投資にいかすなら、まずは企業の見通しに沿って「EBITDA」が進捗しているかどうかをチェックすることが第一歩。

その上で、会計上の利益と「EBITDA」のギャップを生んでいる投資内容が、「本当に将来の企業価値を高める投資か?」を吟味するのが次のステップ。さらに理解が進めば、3と4を算定し、同業他社と比較することで企業の収益性、財務健全性、株価の妥当性を測ることができます。

EBITDAで投資分析をする場合の注意点

これらの分析を行うときの注意点を2点挙げておきます。1点目は「EBITDA」は法律で定義された概念ではないため、企業によって定義(償却科目)が異なるということ。また、同一企業であっても「EBITDA」の定義が途中変更されることもあります。

2点目は投資内容をよく見極めること。2002年に経営破綻したアメリカのワールドコムは、本来販売管理費として計上すべきリース代を設備投資として計上したため、「EBITDA」が水増しされ、過大評価につながったと言われています。

EBITDAを制すれば、成長企業が見えるようになるかも

このように、一見とっつきにくそうな「EBITDA」ですが、理解して慣れれば、かなり役立つ指標と言えそうです。今後、このような指標を取り入れる企業がどのくらいあるかにもよりますが、人よりもはやく成長企業をチェックできるようになるかもしれません。

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