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IFAが具現化する「フィデューシャリー・デューティー」の世界

(写真=designer491/Shutterstock.com)

「フィデューシャリー・デューティー」という言葉を検索すると、各金融機関が発信する「フィデューシャリー・デューティー基本方針」と記載されたサイトが数多くヒットします。書かれている内容は「お客さま本位の取り組み」「お客さまニーズを踏まえた商品ラインナップの充実」など、「顧客本位」の姿勢を前面に打ち出したものです。

フィデューシャリー・デューティーとは「受託者責任」と訳される言葉で、資産を預かり運用する側は、預けた人の利益が真に最大化できるように幅広く適切な方策を検討、実施する義務がある、という考え方です。

IFAにとって当たり前ともいえる考え方が、やっと日本の金融業界のスタンダードになってきました。今回は、フィデューシャリー・デューティーについて詳しくみていきましょう。

利益相反関係に待ったをかけた金融庁

日本の金融業界はこれまで、しばしば顧客の利益よりも自社の利益を優先してきました。典型例が投資信託運用会社と販売会社の系列関係です。

日本の投資信託運用業者のうち、社数ベースで約4割、純資産ベースで9割弱が、金融機関・事業法人の系列です。そして、大手の銀行・証券会社が、系列の投資運用業者の商品を取り扱う比率が50%を超えています。一方で、競合するグループ系列の商品は取り扱わないというグループ内の利益を優先する販売スタイルは、顧客本位の姿勢とは相反するものとして金融庁から厳しく指摘されています。

また、毎月分配型の投資信託については、商品説明の不十分さが問題視されています。運用収益を超えて分配を行っている毎月分配型投資信託が増加傾向にあること、分配金として元本の一部が払い戻されることもあること、分配金に課税されるため再投資額が税金分減少し、複利効果が得にくい商品であることなどについては、保有者の理解が十分とはいえない状況です。

今後は、金融機関もIFAと同様に、顧客の立場に立った公平性の高い販売スタイルが迫られることになります。グループ内利益をどう確保していくのかについては、抜本的な構造改革が必要となることでしょう。

顧客から見えづらい手数料の高さも問題に

金融機関の収入源として外せないのが手数料です。投資信託については購入して一定期間が経過した商品を売り、他の商品を購入させる「回転売買」が顧客の利益ではなく、金融機関の手数料収入目当ての行為としてここ数年、厳しく指摘されています。

このほか金融庁が名前をあげて指摘しているのが「外貨建一時払い年金保険」の高額な手数料です。保険会社が保険を販売した金融機関に支払う手数料は5~7%と高水準であるのが現状です。しかも、この手数料の原資は、主として運用資産から支払われています。ファンドラップも同様に、金融庁が手数料の高さを指摘している商品です。

一方、IFAのなかには、顧客から手数料ではなく運用残高の成果に連動して報酬を受け取るという、利益相反のない形を採用するケースも目立つようになってきました。このような状況がフィデューシャリー・デューティーを具現化する動きの1つといえるでしょう。

森金融庁長官が推し進める金融大改革

ここ数年の金融業界の大改革の背景にあるのは現金融庁長官、森信親氏の存在です。自社の利益追求のために顧客の利益を犠牲にしてきた姿勢に徹底的にメスを入れ、顧客の利益を第一に考えるよう要請してきました。

2017年3月に金融庁から発表された『顧客本位の業務運営に関する原則』には、「本来、金融事業者が自ら主体的に創意工夫を発揮し、ベスト・プラクティスを目指して顧客本位の良質な金融商品・サービスの提供を競い合い、より良い取組みを行う金融事業者が顧客から選択されていくメカニズムの実現が望ましい」と明記されています。

そして、現在は多くの金融機関が「フィデューシャリー・デューティーの基本方針」を策定、公表するに至っています。

現在金融業界の一大変革は加速度を増しており、この変革はIFAにとっては追い風となるでしょう。フィデューシャリー・デューティーの担い手として期待が高まっています。

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