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教育の無償化を支える「こども保険」「教育国債」「こども国債」とは?

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(写真=goodluz/Shutterstock.com)

少子高齢化問題が叫ばれて久しい中、子育て・教育予算に関する議論が活発化してきています。これまでは保育所の待機児童解消に対する取り組みにスポットが当てられてきましたが、昨今は安倍首相が憲法改正のテーマのひとつとしている「教育の無償化」も論点になっています。財源をどうするのか、各政党からいくつかの案が上がってきています。

教育機関への公的支出が圧倒的に少ない日本

経済協力開発機構(OECD)が2016年に公表した2013年の「加盟各国の国内総生産(GDP)に占める学校など教育機関への公的支出の割合」によると、日本は3.2%で比較可能な33ヵ国中32位です。大学などの高等教育に限っての比較では、6年連続最下位となっています。

一方で、公的支出に私費負担を合わせた児童生徒1人当たりの教育機関への支出では日本はOECD平均を上回っており、家計が多くを負担している実状が浮かび上がってきます。政府としても、教育財源の確保に本腰を入れざるを得ない状況といえるでしょう。

文部科学省の試算によると、幼児教育から大学まで授業料無償化に必要な年間予算額は、幼稚園や保育園などの就学前教育で約7,000億円、私立小中学校分が数百億円、高校が約3,000億円、大学が約3兆1,000億円で、合計すると4兆円を超えます。消費税を活用すればいいとの意見もありますが、消費税10%実現のめどが立たない上、増税分の使い道は社会保障費として行き先がすでに決まっているのです。

よって新たな財源を確保する必要があり、各政党が施策を検討しています。詳しく見ていきましょう。

教育財源の議論を賑わす3つの案

自民党内では小泉進次郎氏をはじめとする若手議員が提案している「こども保険」と、文科相経験者である下村博文氏が唱える「教育国債」が議論されており、民進党内からは玉木雄一郎氏の提案による「こども国債」が出されています。どのような違いがあるのでしょうか。

まず「保険」と「国債」ではお金の集め方が異なります。「こども保険」は、厚生年金保険料率を企業と勤労者でそれぞれ0.1%ずつ、計0.2%引き上げ、国民年金加入者は保険料を月160円上げて財源とするものです。親世代が保険料として負担するという考え方ですが、子どもがいない、もしくは子育ての終わった世帯は確実に給付が受けられないのに、等しく負担しなければならないことに対する不公平感が指摘されています。

一方の「国債」は「国が行う借金」ですから、将来世代に借金を先送りする形となります。これまで国債で政策の財源調達を行うことの妥当性は、施策から得られる便益が将来にわたって発生する場合に限定されてきました。インフラ投資のために発行される「建設国債」が認められているのはこのためです。子育て・教育関連予算がこれに該当するかどうかをめぐり、議論が続いています。

就学前、高等教育……異なる財源の使用方法

お金の集め方のほか、使い道にも違いがあります。「こども保険」は、幼稚園や保育所など就学前児童に重点的に配分しています。給付方法は小学校入学前の子どもへの児童手当の加算や、バウチャー(利用券)の配布などが想定されています。「教育国債」は、大学などの高等教育の無償化に必要な財源を国債発行で賄う目的で起案されたものです。

民進党の「こども国債」は、国債発行が許される対象を見直すことが前提となっている提案です。経済成長に必要な要素は、以下3点としています。

1. 人的資本形成に資する予算(子育て・教育)
2. 社会資本形成に資する予算(道路・橋・港湾。現在の「建設国債」に類するもの)
3. 科学技術の進行に資する予算(研究開発、R&D)の3つとし、それぞれに対する国債を設定しよう

「こども国債」は、1のために発行される国債という位置づけで、教育の無償化を含む子育て・教育予算の財源を広く確保するのが目的です。3つの中では、使途が最も広く定義されていると考えていいでしょう。

それぞれの提案には、まだ解決すべき課題が多いのが現状です。新たな財源を確保するという観点だけではなく、財源配分の見直しなどを含めた広い視野での議論が待たれます。

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