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世界の富はシンガポールと香港へ 一歩先行く金融政策

(写真=Vichy Deal/Shutterstock.com)

シンガポールと香港は、アジアの代表的なオフショア地域であり、国際金融都市です。イギリスの金融コンサルティング会社Z/Yenが年に2回発表している「国際金融センター指数(GFCI)」の2017年3月のレポートを見ても、1位のロンドン、2位のニューヨークに次いで3位にシンガポール、4位に香港がランクインし、トップ2都市との差を縮めつつあります。

アジアのタックス・ヘイヴン(租税回避地)として人気が加速

経営コンサルティングファームのボストンコンサルティンググループが2017年6月に発表した「グローバルウェルス・レポート(Global Wealth 2017)」にある「オフショアの展望」という項目に注目してみます。

レポートによると、現在オフショア金融センターで最も高い24%のシェアを誇っているスイスは、そのシェアは2021年まで減少すると予測しています。代わって最も急速に成長しつつあるのがシンガポール、次いで香港です。オフショア金融資産額の増加率が約10%と高く、このトレンドは2020年頃まで続くとされています。

オフショア地域への資産の流入源となっているのが、日本を含むアジア太平洋地域の投資家です。その額は2016年には2兆9,000億ドルに達しました。実際に、家計金融資産の前年からの増加率は日本を除くアジア・太平洋地域が最も高く、9.5%に及んでいます。今後もこの傾向は続く見込みであり、資産がシンガポール・香港へ向かう動きもより活発化していくものと考えられます。

キャピタルゲイン課税はなし。所得税率もかなり低め

シンガポールや香港に資産が集まるのは、金融システムが極めて魅力的であるからです。

まず、両国ともにキャピタルゲイン(株式などの譲渡益・値上がり益)などに対する課税は非課税です(日本は20.315%)。ただしシンガポールでは、繰り返し発生するなど本業所得とみなされるものについては法人税の課税対象となります。

例えば、株式トレーディング業者が売買する上場有価証券のトレーディングなどはキャピタルゲインには該当せず、通常の法人税課税の対象となります。また、個人所得税はシンガポールが最高20%(減価償却控除、借入金利控除、貸倒控除等の控除あり)、香港は最高17%で、日本の個人最高45.945%と比べるとかなり低い数字になっています。また、香港には消費税はありません。

法人に対する優遇税制も魅力

法人が拠点を置く都市としての魅力も十分です。世界銀行が毎年発表している報告書「ビジネス環境の現状」の「ビジネス環境ランキング」で、長い間首位を独占してきたのはシンガポールです。2016年版では1位をニュージーランドに譲り2位でしたが、アジアのトップであることには変わりありません。香港も2016年は4位、2015年は5位と常に上位に位置する常連国です。

魅力となっているのは、やはり両国の税制です。シンガポールの法人税率は日本よりも圧倒的に低い17%です。実際にはさまざまな免税・および減税措置があり実質税率はさらに低くなります。

例えば通常の法人課税所得のうち、最初の1万シンガポール・ドル(Sドル)の75%と次の29万Sドルの50%は免税となります。さらに、法人税額の一部が控除される仕組みもあり、これは、賦課年度(課税決定される年度)によって異なります。2016~2017賦課年度では、税額の50%(年間2万Sドルを上限)が法人税から減税されます。

一方の香港の法人税率は16.5%で、香港で行われた経済活動と香港での貿易取引の収益が課税の対象です。さまざまな非課税控除に加えて2016年9月、香港政府はCTC(財務統括拠点)制度による税制優遇措置の概要を公表しました。一定の要件下で、香港外のグループ会社の金融財務活動による所得に対して、法人税の標準税率16.5%が半減され、8.25%の優遇税率が適用されるというものです。また、海外の関連会社の借入金に対する支払利息の損金算入も併せて認められました。「アジアに拠点を置くならシンガポールか香港に」という動きは、この先も加速しそうです。

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