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ノーベル賞で話題になったマイクロファイナンスの今

(写真=Mentari Merah Studio/Shutterstock.com)

貧困層を対象とした少額の融資「マイクロファイナンス」をご存じでしょうか。バングラデシュの農村で1983年に創設された「グラミン銀行」とその創設者ムハマド・ユヌス氏が2006年にノーベル平和賞を受賞して世界中に知られるようになりました。

古くは中世ヨーロッパの修道院において喜捨をもとに無利子で行なっていた少額融資の例をはじめ、日本でも頼母子(たのもし)、無尽(むじん)、模合(もあい)といった互助的な金融制度があったようです。

貧困層の自立基盤を支援する観点から社会貢献性の高い事業ですが、世界の注目を浴びた2006年以降はより金融サービスの色が強くなっているとも言われています。マイクロファイナンスの現状と日本での動きについて紹介します。

貧困層の自立基盤を支援する「グラミン銀行」のしくみ

「グラミン銀行」は、単に貧困層へ少額の無担保融資を可能にするだけでなく、こうした人々が経済的に自立するための基盤づくりを担っているという点において、その高い社会貢献度が評価されています。具体的なビジネスモデルは、このような流れです。

・融資を受ける人を5人1組の互助グループとして、グラミン銀行のコンセプトやルールなどの講習を受けてもらい、理解が十分だと判断されたグループへ融資を行う
・まず、5人のうち2人が融資を受け、期限までに返済すれば次の2人が融資を受けられるというシステム

従来、銀行員が行っていた信用調査を、5人がグループになることで互いに監視し合って信用度を上げていくのがマイクロファイナンスのしくみです。融資を受けられるのは土地を持っていない人か、持っていてもわずかな所有にすぎない人が対象となります。実際、「グラミン銀行」で融資を利用している人の97%が女性で、返済率は99%以上と圧倒的です。

チャリティよりも投資・投機に注目されるマイクロファイナンス

このマイクロファイナンスの動きは「グラミン銀行」のノーベル平和賞受賞で一気に知名度が上がったのを機に、あちこちで金融サービス色の強い事業展開が始まりました。例を挙げると、2007年にメキシコのマイクロファイナンス会社が大規模なIPOを行ったほか、2010年にはインドでも同様にIPOで資金を調達するマイクロファイナンス会社が現れました。

マイクロファイナンスのビジネスモデルが、「チャリティ」としての側面よりも「投資」や「投機」の可能性に注目が集まり、参入する企業が相次いだのです。

そのため、一見マイクロファイナンスでも、ふたを開けてみれば従来の高金利貸と変わらない事業者も増え、融資を受けた人が返済できなくなり多重債務に苦しめられるという事例も発生しています。

日本における「マイクロファイナンス」の現状

日本においてマイクロファイナンスは、現在の自治会や町内会の基礎ともいえる5人組や、何人かが集まって積み立てたお金を貸し借りする頼母子などもあったように、経済的な互助組織については受け入れやすい土壌は形成されています。

また、グラミン銀行のようなマイクロファイナンスの流れとは別に、生活協同組合や労働金庫、一部の信用金庫および信用組合などでも経済弱者を救済する、似たようなしくみは存在してきました。

最新の動きでは、2017年秋にグラミン銀行が「グラミン日本」として日本進出を検討していると報道されたのを覚えている方もいるかもしれません。ビジネスモデルはバングラデシュのグラミン銀行と同じように5人1組で順番に融資を受け返済し、誰か1人が返済に遅延があると融資の増額枠が下げられます。

日本の場合は、就労や起業で必要な資金を調達したいと考えている人が対象となる予定ですが、返済計画の相談や就労の取り組みもオリジナル制度に合わせることになるようです。「グラミン日本」が本格的なスタートを迎えるタイミングで、再び話題になる可能性もありそうです。

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